アクテムラ。 トシリズマブ

アクテムラ

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ロシュは7月29日、新型コロナウイルス関連肺炎による重症入院患者を対象に欧米で実施するアクテムラ(一般名:トシリズマブ)の欧米で実施した第3相臨床試験「COVACTA」の結果について、主要評価項目を達成しなかったと発表した。 主要評価項目に据えた臨床状態の改善や死亡率についてのいずれも、対照群であるプラセボに対し、有意差を示せなかった。 アクテムラは、ロシュの子会社である中外製薬が自社創成した抗体医薬で、新型コロナウイルスに起因するサイトカインストームへの有効性が期待されていた。 試験は、重症の新型コロナ関連肺炎による成人入院患者450例が対象。 標準治療にアクテムラを上乗せすることでの有効性・安全性を検討する目的で実施された。 主要評価項目には、7カテゴリーで示す4週目時点の臨床状態を据えた。 副次評価項目は、死亡率、人工呼吸器、集中治療室に関する変数。 7%、プラセボ群19. 4% 主要評価項目の4週目の臨床状態の改善については、アクテムラ群はプラセボ群に対し、統計学的な有意差は認められなかった(p=0. 36、オッズ比:1. 19、95%CI:0. 81-1. 76)。 カギとなる副次評価項目である、4週間後の死亡率は、アクテムラ群19. 7%、プラセボ群19. 4%で、有意差は認められなかった(p=0. 9410)。 0-27. 0)、プラセボ群28日間(28. 0370)。 ただ、同社は「主要評価項目は未達のため、その差について統計学的な有意性を判断することはできない」としている。 人工呼吸器未使用日数はアクテムラ群22日間、プラセボ群16. 5日間で有意差は認められなかった(p=0. 3202)。 4週目時点の感染症の発生率は、アクテムラ群38. 3%、プラセボ群40. 6%、重篤な感染症の発現率は、アクテムラ投与群で21. 0%、プラセボ投与群で25. 9%だった。 また、安全性について「新たなシグナルは認められなかった」としている。 国内では、中外製薬が同様の患者群を対象に、アクテムラ投与群のシングルアーム(単群)での試験が進行中。 同社は欧米、日本ともに20年中の申請を目指していた。 ロシュは、重症の新型コロナ肺炎による入院患者を対象に、同剤とウイルス薬・レムデシビル(製品名:ベクルリー)との併用の有用性を検討する「REMDACTA」など複数の臨床試験が進行中。

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コロナ重症患者の救世主となるか。中外製薬「アクテムラ」の実力

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アクテムラ(トシリズマブ)の作用機序:生物学的製剤 炎症が関わる疾患として関節リウマチなどが知られています。 これらの炎症反応には免疫系が関わっており、免疫が過剰になっているために病気が起こります。 これを自己免疫疾患と呼びます。 このような免疫に関わる疾患を治療する薬として トシリズマブ(商品名:アクテムラ)が使用されます。 トシリズマブは 生物学的製剤と呼ばれる種類の薬になります。 トシリズマブ(商品名:アクテムラ)の作用機序 炎症は病気に関わるため、悪いイメージがあります。 しかし、炎症自体は免疫反応の1つであり、細菌感染から身を守るために必要なシステムです。 そのため、炎症を抑えすぎてしまうと感染症に罹りやすくなります。 しかし、この炎症が強すぎてしまうと悪影響を及ぼすようになります。 免疫の働き過ぎによって過剰に炎症が引き起こされて病気になってしまうのであれば、過剰な炎症を鎮めることで病気の症状を抑えなければいけません。 私たちの免疫は細菌を異物と認識して排除しようとしますが、当然ながら自分自身の臓器に対して攻撃をすることはありません。 しかし、 何らかの原因によって自分自身を攻撃し始めることがあります。 この状態が自己免疫疾患であり、炎症が過剰に引き起こされます。 例えば、自己免疫疾患として冒頭で挙げた関節リウマチがあります。 関節には滑膜と呼ばれる部分があり、関節リウマチでは滑膜に炎症が起こっています。 この炎症が続くと骨や軟骨が破壊され、関節が変形することで運動障害が起こります。 これを防ぐために免疫の働きを抑えて炎症を鎮める必要があります。 この時、 私たちの体の中には免疫を活性化させ、炎症を引き起こすためのシグナルが存在しています。 このシグナルを IL-6(インターロイキン6)と呼びます。 つまり、 IL-6の働きを抑えることができれば、自己免疫疾患の症状を抑えることができるようになります。 IL-6の作用を抑制する薬がトシリズマブ(商品名:アクテムラ)であり、これによって炎症を抑制します。 トシリズマブは抗体医薬品であり、「IL-6が作用するための受容体」に対して結合する性質をもちます。 トシリズマブとIL-6受容体が結合してしまうと、IL-6が受容体に働きかけることによるシグナル伝達が行われなくなります。 前述の通り、IL-6は免疫系の活性化に関わっているため、この働きが抑制されると炎症反応が阻害されます。 その結果、自己免疫疾患などによる免疫の暴走が沈静化されます。 このような作用機序によって関節リウマチなどの炎症性疾患を治療する薬がトシリズマブ(商品名:アクテムラ)です。 IL6受容体に対する抗体であるため、 抗IL-6受容体モノクローナル抗体とも呼ばれます。 トシリズマブ(商品名:アクテムラ)の特徴 抗体医薬品などの遺伝子組み換え製剤を生物学的製剤と呼ぶため、トシリズマブ(商品名:アクテムラ)は生物学的製剤に分類されます。 トシリズマブに含まれる抗体部分は主にヒト由来で構成されていますが、IL-6と結合する部分だけはマウス由来となっています。 完全なるヒト由来の抗体ではなく、少しだけマウス由来の部分が混じったヒト化抗モノクローナル抗体となります。 他の薬との併用でも強い作用を得ることが可能ですが、 トシリズマブは単独でも優れた有効性を示します。 特に関節リウマチの臨床試験では、 関節破壊の抑制効果が初めて証明された製剤になります。 このような特徴によって免疫による異常を改善し、炎症が関わる病気の症状を抑える薬がトシリズマブ(商品名:アクテムラ)です。 免疫を抑えるため、主な副作用としては感染症が知られています。 臨床試験では31.

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アクテムラと我が研究人生:日経バイオテクONLINE

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2019年大晦日、中国・武漢市内の医療機関で27人が原因不明の肺炎が発症したことが、中国メディア経由で日本でも報じられた。 年の瀬の慌ただしさと56年ぶりの東京五輪を迎える高揚感の中で、このニュースはどれほど深刻に受け止められただろうか。 ほどなく、肺炎の病因と判明した新型コロナウイルスは、巧みにヒトの間で感染を広げていった。 4月初旬、国際連合のグテーレス事務局長は、「第二次世界大戦以降例のない難局だ。 多くの人が命を落とし経済は荒廃している」と発言(NHKのインタビューに答えて)。 5月半ばになっても、暗雲は世界中を覆い尽くしているが、幾筋か光が差しはじめた。 治療効果を示すいくつかの薬が実用化されようとしているのだ。 治療薬候補として名前の挙がる薬のなかに、実は日本人研究者が関わった薬が、ファビピラビル(商品名アビガン)、トシリズマブ(商品名アクテムラ)、イベルメクチン(商品名ストロメクトール)と3つある。 筆者は10年以上にわたり、「日本発の創薬」をテーマに取材しており、これらの開発者にも直接取材している。 日本の薬が世界を救う日への期待を込め、これらの薬を紹介したい。 弱毒性なのに新型コロナが怖い理由 本題に入る前に、新型コロナウイルスについて少し解説しておこう。 コロナウイルスは、ヒトで風邪の原因となるありふれたウイルスとして4種類が知られているが、この新型ウイルスは、自然宿主であるコウモリに寄生し、センザンコウなどの哺乳類を介して、ヒトへの感染能力を獲得したとされる。 2003年に流行した重症呼吸器不全症候群(SARS)も、また別のコロナウイルスが原因だったが、こちらはわずか8ヵ月で、世界保健機関(WHO)がグローバルな封じ込めに成功したことを宣言している。 SARS発症者は大半が重症化するため、早期に見つけ出して隔離可能だったことが奏功したとされる。 一方、新型コロナウイルス感染では、軽症者や症状のない無症候者も感染力を持つため、感染拡大に苦慮することになった。 Illustration by United Nations COVID-19 Response on Unsplash 日本では緊急事態宣言が出され、海外ではより厳格なロックダウンの政策を採った国も少なからずある。 これらにより、「ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)」によるオーバーシュート(感染爆発)を防止する効果が期待されている。 もっとも、地域的な収束の道のりが見いだせても、地球上からこのウイルスを根絶することは難しい。 どこかにウイルスが残っていれば、人々が往来を開始した途端、またウイルスを広めかねない。 ワクチンがまだない中で、人類は、「感染者を抑えること(オーバーシュートの回避)」と「感染者を増やすこと(短期間での集団免疫の形成)」という、明らかに相反する課題に挑んでいるようだ。 実は、新型コロナウイルスの感染が分かった人のうち、重症化するのは2割程度で、多くの人は軽症で済む。 内外の抗体検査によれば、背後には、すでに感染して体内に抗体(侵入した異物を攻撃するタンパク質)ができた人が数百倍いるともされ、重症化率や致死率はさらに下がる可能性がある。 同じくコロナウイルスの感染では、SARSは致死率10%、MERS(中東呼吸器症候群)は30%である。 これらに比べて新型コロナは弱毒性のウイルスでありがら、世界中で強く恐れられている最大の理由は、お墨付きを与えられた治療楽がなかったためだろう。 たとえば、季節性インフルエンザでは、世界中で毎年25〜50万人もが命を落とすものの、オセルタミビル(商品名タミフル)などの治療薬の存在が、安心につながっている。 新型コロナウイルス感染症に対する薬の開発は世界中で進められている。 新薬開発には通常は5~10年といった年月を要するが、すでに承認された楽の中に有効性を示す物が見つかれば、手続きを簡略化してより早く使える可能性があると期待されている。 「アビガン」開発者の声 日本国内で、新型コロナウイルス感染症治療薬として、1番乗りを果たしたのはレムデシビル(商品名ベクルリー)で、米国ギリアド・サイエンシズが、エボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた薬である。

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