クジラ アタマ の 王様。 伊坂幸太郎 最新書下ろし長編小説が来た‼【クジラアタマの王様】

コロナを予言?『クジラアタマの王様』で描かれた新型ウイルスに対する社会の拒否反応

クジラ アタマ の 王様

製菓会社広報部に勤める僕こと岸は製品の異物混入のクレーム電話をかけてきた女性の夫で、都議会議員の池野内、ダンスグループの人気メンバーの小沢ヒジリと知り合います。 三人は八年前、金沢のホテルに偶然、一緒に宿泊した際火事に遭っています。 そして僕と僕の妻は、サファリランド「サンファンランド」で猛獣に襲われ、側にいたヒジリと池野内議員の機転により救われるという事件も起きます。 その後、池野内議員が、自分たち三人が「夢の中で、あの生き物に勝つと現実で直面している問題が解決するんですよ」と言い出します。 「異物混入も戦いに勝ったから大事にならずに済んだのだ」と言います。 「八年前の火事の時、助かったのも、オオトカゲに三人で、夢の中で勝ったからだ」と言います。 僕は半信半疑ですが、小沢ヒジリも同調するようになります。 そして、十五年後、僕の娘の佳凛が世界的に流行し始めた驚異的な新型インフルエンザに患り、強制的に隔離されます。 そして、海外から帰ったヒジリもり患して重篤で、命が危険になります。 そして僕は、池野内厚生労働大臣の甚大なる助けにより、解決策を見出していきますが、そこにまた敵が現れて阻止しようとするのと、最大の戦いが始まります。 最後は、いつも通り伏線が鮮やかに回収されていくさまが見事です。 伊坂さんの作品は『フーガはユーガ』『スピンモンスター』と少々つらい話が続きましたが、今回はちょっと不思議な冒険活劇です。 安心して読めました。 川口澄子さんのコミックパートがついていて、優しいタッチの線に癒されます。 一方で、「シーソーモンスター」からの伏線、P236、P253!他にもあるのかもしれないけれど、古参を放置しない、過去作品とのリンクを取り入れてくださっているところは、なんとも言葉にしがたい喜びがあります。 漫画部分を物語の本筋部分に載せるのではなく、本筋とは少しずれた部分に載せることで、読者側にも「あー、そんな描写あったなー」と、ぼんやりとだけれど鮮明に思い出させるような、つまりは夢で見たような感覚を彷彿とさせる、そうした効果があったのか、どうか。 伊坂先生の、ラストへ向かっていくシーンは毎度のことながら苦しく、震えが止まらなくなったりする。 それでもページをめくる手が止まらないんだ。 あとがきで、アクションシーンについてこう触れています。 「アクションをただ文章化するだけでなく、文章だからこそ楽しめる工夫を凝らすことを意識したくなります」 ここ何作品か、思い当たるところありまくりで。 最近は本当に、躍動感・臨場感あるシーンをとても丁寧に、ページを割いている感があって、そうかそういうことか、と、妙に納得したり。 アクションシーンだけでなく、アクションシーンへ盛り上げていくまでのパフォーマンスや、それに付随する細やかな心理描写も毎度のことながら秀逸です。 これが、手を震えさせながらも、ページを次から次へと進ませる。 ずっと一人の作家さんの作品を読み続けていると、作家さんの変化に気付けたり、今大切にしていることが分かったり、それを体感できるのが、醍醐味。 次回作では、どんな世界へ連れて行ってくれるんだろうと、またそんな気持ちにしてくれる。 夢の世界と現実の世界。 夢の世界でクジラアタマの王様の指令により敵を倒してゆく。 倒してゆくことで現実の世界でトラブルを乗り越えてゆく。 二つの世界はリンクしている。 そして闘う仲間がいた。 同じ世界の夢を見るのは、製菓会社広報部・岸、人気のダンサー、政治家。 夢の中で負けてしまったという彼らに現実で待ち受けるものは… それはそれは伊坂さんの世界は楽しい。 しかし。 どうにもこうにも。 期待しすぎなのか、こちらが歳をとったのか、いや好みが変わったのか。 どうも違う方向に行っている感じがする。 笑いがくどいし、面白さに弾みがつかなかった。 夢と勇気の物語? 少々期待外れ。 自己犠牲とか人間お愚かさとか、教訓めいて(ストレートすぎ?)変な感じ。 複線回収、コミック部があるのはいいけど、爽快感やらキラメキ、切れ味は薄いと感じた。 「クジラアタマの王様」とはラテン語で ハシビロコウのこと。 表紙の絵も。 ただ、ハシビロコウ大好きの私にとっては、 「ちょっとね…」というお話でした。 でも内容はとても面白かったし 川口澄子さんのイラストも非常に良かったです。 そして個人的には「短期的には非難されても、大局的には大勢の人を救うほうを選ぶべきじゃないの」がよかったです。 ちょうど今朝Oさんにあって、久しぶりに笑顔で話しかけられました。 1年半位前にいろいろあって、「Oさんに嫌われちゃったかな」と思っていたのです。 でも、それは仕方ないこと(自分は正しいことをしたのだから)と思っていました。 そのOさんとの事と、この言葉がマッチして、嬉しかったです。 久しぶりの伊坂幸太郎作品。 伊坂幸太郎というだけでどうしてもワクワクしてしまう。 伊坂幸太郎ファンとしてはこの時点でハードルを上げてしまうのだが、その期待を裏切らない面白さ。 相変わらず飄々とし、人を食ったような文体。 そして不思議な物語。 いつのまにかその世界へと安心して入り込んでいる自分がいることに気づく。 この物語は、夢の世界で仲間になった者たちが、現実の世界で出会い、夢の中で戦い、勝利すれば現実の世界でも災難から免れることができるという、一風変わったストーリー。 やがて、こちらの世界と夢の世界、どちらがリアルな世界なのか区別がつかなくなっていく。 製菓会社の広報部員である岸の元に一本の苦情の電話が入る。 苦情は狂言だったのだが、妻の代わりに謝罪にきたのが都議会議員である池野内。 池野内は、岸に夢の話をする。 夢の中で2人は出会っていると。 そして、2人には夢以外でも昔火事に遭った旅館に泊まっていたという共通点があった。 そして、もう1人、夢で仲間となる芸能人の小沢ヒジリ。 3人は度々災難に遭うが、夢の世界で勝利し、現実の世界でもなんとか難を逃れてきた。 そして15年後、大きな事件に巻き込まれていく。 今回はファンタジーテイストの物語だが、最後まで楽しく読めた。 ところどころに散らばらせた伏線を回収する技は見事。 これから読む人はしっかり登場人物を見逃さないように! こんな政治家が居てくれたら。。。。 嗚呼 図書館に予約を入れたのは出版直後の去年の8月頃でした。 ようやく手元に届いた今、パンデミックの阻止がエンディングで扱われていて、妙に身につまされる読書になってしまいました。 勿論、伊坂さんはあくまでエンタメとして書いたものでしょうし、そういう読み方をされるのが本意では無いと思いますが。。。 伊坂さんを読むのは久しぶり。 調べたら2007年頃にハマって2011年くらいまでは継続的に読んでいました。 そあ当たりで何となくパターンが見えて来た気がして、面白いのは面白いのですが「もう良いか」と。。。 その後はぽつりぽつり。 今回は5年ぶりでした。 やっぱり上手いし、面白いですね。 投げて回収、そのリズムが良いんですね。 また、ボチボチ読みついで行きましょう。 伊坂 幸太郎(いさか こうたろう) 1971年千葉県生まれの作家。 東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。 その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。 2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。 同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。 上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。 代表作も殆どが映画化されている。 最新作に『フーガはユーガ』。

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伊坂幸太郎流“異世界転生”の物語 漫画との異色コラボ「クジラアタマの王様」|好書好日

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本のあとがきでも書きましたが、動きのある場面を今まで小説で表現してきて、これをコミック的なもので表現するとどうなるのか、小説とコミックがつながっていくような、そういう読書体験を自分自身、味わってみたいと思っていました。 例えば、アクションシーンを小説で書いてもその面白さを文章で伝えるのはそう簡単ではありません。 カーチェイスなんてその最たるもので、映像のカーチェイスをそのまま小説として書き起こしても、映像で受け取る情報ほどの面白さには正直かなわないんですよね。 だから、小説で書くなら比喩的な表現や異なるアプローチからの工夫が必要だと思っているんですが、一度くらい、アクションを表現するのが得意な「絵」の力を借りて表現してみたい気持ちがありまして。 基本的には、どういう絵を描いてほしいのかを、僕と編集者で考えて、川口さんに依頼するという形でした。 絵の部分だけ読んでも意味はわからないけれど、そこが小説とどうからんでくるのかを楽しんでいただければ、と工夫したつもりです。 そう言えば、今作は、小説で描いているパートはいたって普通の現実なんです。 殺し屋もギャングも死神も出てきませんし、今までの作品を思い返してみても、突飛なものが出てこない作品って意外に少ないんですが、今回は、かなり現実的な要素で完結するエンターテインメントになったんですよね。 その分、絵のパートがファンタジー的な要素を担ってくれているので、それによって作品全体のバランスがとれたかな、と。 あと、中盤で、ある危機をどう乗り切るか、と考えていた時、いつもとは違って、「絵で説明するからこそ面白い」ものを意識したんですよね。 普段だったら、リアリティからするとどうなんだろう、と悩んで、もう少し現実的な展開を考えるんですが、「せっかく絵を使うんだから目で楽しめるものがいいな」「単純に絵を入れただけというのでは面白くないな」と思って、絵だからこそ表現できるものを入れたかったんです。 あの顛末はだからこそなんです。 もし小説で書いていたら、もっと別の、「見た目の面白さ」ではなく「展開のアイディア」を重視したと思います。 最初にこの小説を考えたとき、異物混入と謝罪会見を書いてみたいなって思ったんですよ。 そこから展開を考えていったら、思いのほか現実的な事件になりまして。 現実の中でのエンターテインメントを書くには苦労も工夫もありました。 『SOSの猿』は株の話でシステムエンジニアだったから書けたけど……会社員のドラマでどうやったら盛り上がるんだろう、と悩んじゃって、池井戸潤さんの企業小説と、広報部門の人向けのマニュアル本を事前に読んだりして(笑)。 製菓会社、記者会見、動物、火事……といった僕らしくないリアルな要素だけで物語を組み立てて、それを僕らしく書いたという点が、ある意味で今までの作品との相違点とも言えるのかもしれません。 僕は変化球が好きで、スローカーブとか、落ちる球とか、消える魔球とか。 でも今回は、まっすぐな球を僕らしく投げた。 川口さんのイラストがあったから書ききれたということもあるかも。 どうなんでしょう(笑)。 現場の人が困っているのに、上の人だけは呑みにわっしょいわっしょいと帰るという図ってありそうじゃないですか。 それが嫌だな、と思っていたのでそういうのを書きたくなったのかもしれません。 一方で、何か大変な案件を抱えているのか、会議室からいかにも難しい顔をして出てくる人とかいますよね。 そういう対比が個人的に気になって、そういうのをそのまま書いただけなんですよね。 あと、正直なところ、テレビ番組の影響でお菓子の売り上げがあんなに変わるわけがないよな、とか、さすがに番組で流れないんじゃないかな、とか自分でも思う部分はあるんですよね。 ですので、ああいったところは、フィクション用のデフォルメという感じです。 会社が何か不祥事を起こして記者会見を開いたときのマスコミの反応だったり、それに対する世の中の風潮だったり、直接の暴力ではなく目に見えない悪意って怖いですよね。 だからそれも書きたかった。 まあ、せっかくフィクションなので、頑張っている人が報われてほしい、という気持ちもあったんですが。 ちなみに、記者会見後にお客様からの電話の嵐がやってくる場面の比喩の飛行機部分とか、実はもっと凝っていたんです(笑)。 かなり削っちゃいましたが、あのような場面を書くのが好きなんですよね。 今回だったら、主要な登場人物が3人なので、それぞれ1、2、3文字にしようと思って。 岸君は、僕が応援している楽天イーグルスの岸孝之投手にちなんでいます。 でも、もともと岸さんは西武のピッチャーだったから、それを使うのは西武ファンに怒られちゃうかな、と気になりつつ 笑 、一文字だから使いたいなあ、と。 3文字の池野内議員は、岸がさっぱりしている分、逆に字画を多くしたかった。 でもきっと選挙で闘うには不利ですよね(笑)。 小沢ヒジリは、はじめは、小沢ハルクって書いていたんですけど、やっぱり楽天イーグルスの、外野手だった聖澤諒選手が引退しちゃって寂しかったので、急遽、一括変換で「ハルク」を「ヒジリ」に変更して(笑)。 あ、ちなみに「欧州フジワラ」は会心の命名ですね。 もっと活躍してほしかったんですけど(笑)。 上白石 怒涛の伏線回収が毎回楽しみです。 どの程度展開を考えてから書き始めますか? 伊坂 あまり先の先までは考えず、全体の一割くらいを思い描いたら、書きはじめちゃうことが多いです。 そこまで書いたら次の展開を考える形で、七割くらい書いたところでラストシーンが思い浮かぶケースが多い気がします。 上白石 ふたりきりで語り合うとしたらどのキャラクターとがいいですか? 伊坂 あまり登場人物に思い入れがないので、「語り合いたい!」という気持ちにならないのですが(申し訳ないです!)、『夜の国のクーパー』に出てきた主人公に、あの場所で起きたことをあれこれ聞きたい気はします。 上白石 筆が止まることは? その時はどう打開しますか? 伊坂 デビューして最初の十年は、筆が止まるということもなくひたすら前に前に書き進めていけていたのですが、それ以降くらいからは、少し書いては立ち止まって、「これでいいのかなあ」「もう書きたくないなあ」と思うことが増えました。 打開策としては、編集者と話し合ったり、映画を観たり、もしくは詰まっている場面を全部やめちゃったりすることが多いです。 上白石 伊坂さんの書かれる会話が大好きなので、戯曲や脚本も読んでみたいです! 伊坂 そんなふうに言ってもらえてうれしいです。 ただ、僕の書く会話文は、子どもの頃に観た洋画の会話が根っこにある気がするので、文章として読む分には楽しめても、そのまま日本の役者さんが口にすると、どこか漫画的になってしまうような怖さもあります。 なので、いいものが書ける自信がありません! 上白石 執筆する時のルーティンはありますか? 伊坂 コーヒーを飲むくらいですかね。 上白石 ご自身を映していると感じるキャラクターはいますか? 伊坂 『オーデュボンの祈り』の伊藤君や『アヒルと鴨のコインロッカー』の椎名、『チルドレン』の武藤君などの、傍観者的な一般の人はたいがい、自分に近いかもしれません。 『クジラアタマの王様』の岸君もそうですね。 「平凡な自分が、奇妙な冒険に巻き込まれたら」と考えて、大学生の時に書きはじめて、今の作風が出来上がったような気がします。 上白石 ずばり伊坂さんにとってのバイブルは? 伊坂 バイブル、と呼べるほど何度も読み返したり、指針にしたりするものはないのですが、僕の小説のスタイルは、宮部みゆきさんの短編「サボテンの花」を読んだ時の感動から生まれているので(「こういうお話を僕も書きたい!」と思いました)、強いて言えば、それかもしれません。 上白石 登場人物の名前が印象的です。 名付けのこだわりはありますか? 伊坂 名前に関してはかなり気をつけているので、印象的と言われるのはありがたいです。 僕自身が小説を読んでいる時に、「これ、誰だっけ?」と悩むことが多かったため(笑)、そういうストレスが減るように、なるべくその人のイメージが浮かびやすい名前を考えたくなります。 「蝉」や「鯨」、「蜜柑/檸檬」などもそうですし、あとは、奇抜な名前の人ばかりが出てくると、それはそれで印象がぼやけるため、平凡な名前の人も配置することが多いです。 ただ、氏名のうち、「氏」はどうにかなるのですが、「名」のほうは同じようなものしか思いつかず困ります。 上白石 タイトルはどの段階で、どうやって決めるのですか? 伊坂 タイトルはとても大事で、書きはじめる時に見つかっているのがベストです。 なかなか決まらないと、あまり書く気も起きず、結局、進めることができません。 すんなり決まらないと難航することが多いです。 たとえば『ホワイトラビット』の時は、「動物の名前を入れたい」「ミステリーっぽいタイトルにしたい」という思いだけがあって、はじめは「ウルフ」を入れたかったんですが、どういう単語を絡めてもギャグっぽくなってしまい諦めました。 『クジラアタマの王様』もずいぶん悩みまして、「漢字四文字にしたいな」と思っていて、途中で、「来夢来人(ライムライト)」というのを提案したんですが、いろんな人から、「スナックの店名しか思い浮かばないからやめたほうが……」と言われました。 上白石 伊坂さんのユーモアが好きです。 お好きな芸人さんはいらっしゃいますか? 伊坂 芸人に限らず、僕にとってのヒーローはダウンタウンさんで、いろんな意味で大きな影響を受けている気がします。 松本人志さんの作る映画もすごいと思っています。 もちろんほかの芸人さんたちも好きなのですが、DVDが出るたびに買ってしまうのは、サンドウィッチマン、東京03、バイキングの三組です。 上白石 どんな音楽を聴かれますか? 音楽を聴きながら執筆することはありますか? 伊坂 昔ながらの、シンプルなロックバンドとかが好きなのですが、最近はうるさいものをあまり聴かなくなってきて、「年をとってきたんだな」と感じます。 初稿の時(白紙に文章を書いていく時)には音楽を聴くことが多いのですが、それを推敲する時には絶対に聴きません。 上白石 仙台でいちばんお好きな場所はどこですか? 伊坂 昔、霊屋下(おたまやした)という地域に住んでいまして、そこの広瀬川沿いの河川敷はとても好きです。 上白石 いつも冷静なイメージがあります。 テンションが上がるのはどんな時ですか? 伊坂 ぜんぜん冷静じゃないです。 息子の部活動の応援とかしている時はテンションが高いと思います。 上白石 朝型ですか? それとも夜型ですか? 伊坂 会社員だった時と同じように、朝起きて、外に出て仕事をして、夕方には家に帰ってくるような感じです。 上白石 伊坂さんご自身が、伊坂ファンに薦める作家さんは? 伊坂 難解さに逃げることなく(つまり読みやすく)、小説としてすばらしいという意味では、佐藤正午さん、絲山秋子さんや津村記久子さんを多くの人に読んでほしい気がします。 また僕のミステリー的な部分の原点は、島田荘司さんや連城三紀彦さん、そして新本格と呼ばれる作家さんたちの諸作品です。 たとえば、法月綸太郎さんの『密閉教室』『誰彼』『ふたたび赤い悪夢』『一の悲劇』『二の悲劇』などは非常に興奮して読んだ思い出があります。 上白石 締め切りには強いですか? 伊坂 まったくもって弱いです。 「締め切りに間に合わせないと!」という心配から、不本意なものを世に出してしまいそうな予感があるので、基本的には、締め切りのある仕事は引き受けないことにしています。 上白石 描かれる女性がみんな魅力的です。 単刀直入に失礼します、伊坂さんの好きな女性のタイプは!? 伊坂 女性の登場人物を書くのは苦手なので、魅力的と言ってもらえるとほっとします。 好きな女性のタイプというわけではないのですが、男性でも女性でも、他者を馬鹿にしたり、「自分さえ良ければそれでいい」と考えたりする人は苦手です。 上白石 すばらしい作品を、夢中になれる時間を、いつもありがとうございます。 一冊読み終えるたびに、心の引き出しが三つ四つ増える感覚があります。 どうかお身体を大切に、作品を書き続けてください。 いちファンとして心待ちにしています! 伊坂 ありがとうございます。 この仕事をいつまでできるのかな、新作をいつまで生み出せるのかな、と心配になることが多いのですが、もう少し頑張ろうと思います!.

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伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』のファン代表に上白石萌音 『クジラアタマの王様』

クジラ アタマ の 王様

「クジラアタマの王様」概要 製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。 広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。 訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。 不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。 打ち勝つべき現実とは、いったい何か。 巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。 (より抜粋) 現実世界と夢の世界とが関連するパラレルワールド的内容で、ファンタジー感強めの作品です。 とはいえ、読み進めていくと「こんなことがホントに世の中に起こっているのでは?」と思えてしまうから不思議なものです。 伊坂さんが紡ぎだす心地よい文体と共感できるキャラクターが描かれているからこそ、そう感じられるのかなぁと思います。 夢の世界は漫画で表現 この作品の特徴的な点は、「現実世界」を文章で表現しているのに対し、「夢の世界」を漫画で表現している点です。 上記画像のように、夢の世界は漫画で描かれています。 しかも、セリフが一切出てきません。 「現実世界」は文章だけで表現しているのに対して、 「夢の世界」は画だけで表現しているのです。 想像力を切り替えながら読み進めていくことが求められる、非常に面白い実験的小説です。 後半から新型ウイルスに悩む社会が描かれる 作中の「現実世界」では、後半から新型ウイルスに悩まされる社会が描かれます。 【後半の概要】 海外で新型鳥インフルエンザが流行。 いつか日本にも感染者が現れるのでは?と恐れていたら、主人公の近くでついに感染者が出てしまう。 マスコミや近隣住民から犯罪者のように騒ぎ立てられる感染者たち。 主人公は彼らを守れるのか? この小説が発行されたのは2019年7月です。 コロナウイルスが問題になる約半年前に発表されていたのです。 作中に描かれている状況は、コロナウイルスで混乱する現代社会そのままを描いています。 ネット上で感染者を特定する熱が過熱。 様々なデマが横行。 感染者の自宅に群がるマスコミ• 不要不急の外出を求める行政府• 咳をしている人に対する冷たい視線• 騒動の中、海外旅行をした者に対するバッシング• 訪日外国人への差別• 日用品の買い占め などなど。 私がこの小説を読んだのは2020年4月なのですが、 「この小説ってたった今書かれたの?」と、何度も確認したくなりました。 それぐらい小説に書かれていることが、現代社会でもそっくりそのまま起こっていたのです。 人を動かすのは感情 作中のことが現実になったのはたまたまではなく、伊坂幸太郎さんの類まれなる洞察力の高さゆえのことかと思います。 作中で主人公はこのように言います。 人間を動かすのは、理屈や論理よりも、感情だ。 SNSの発達で感情が集合的に伝染しやすい状況になっている現代だからこそ、危機に瀕した時の社会の動きは予測しやすくなっているのかもしれません。 いづれにせよ、作者の洞察力の高さに驚愕した作品でした。 現代社会を客観視する上でおすすめの小説 結末は陰謀論的な内容になっているので、解決策は参考にはならないかもしれません。 むしろこの結末を真に受けた人が新たな敵を作り出してしまいそうな気がして怖くも感じます。 ただ、この作品を読めば、現在の社会的状況をメタ的に客観視することができます。 混乱している今だからこそ、この小説を読んで自分たちの行動を顧みても良いのかもしれません。 また、エンタメ小説としてももちろん非常に面白いので、ストレス解消のためにもお勧めできます。 伊坂幸太郎さんの小説を読んだ後に感じる「スカッと感」は今作でも健在です。 今作でカギを握るのは、ハシビロコウという大きな鳥です。 この情報だけでも面白そうじゃないですか?(笑) 物語には人を癒す効果があると思っています。 こんな時だからこそ、ぜひ小説を読んでみてはいかがでしょうか?.

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