キ イジョウ ロウ ホトトギス。 ジョウロウホトトギスとは

キイジョウロウホトトギス

キ イジョウ ロウ ホトトギス

古座川・一枚岩のキイジョウロウホトトギス 古座川一枚岩周辺のキイジョウロウホトトギス 和歌山県古座川町 ・花期 10月上旬〜下旬。 日当たりなど場所によって差がある ・交通 車ならR42から串本町高富でR171へ。 その本流から支流、さらに谷筋に分け入っていくと、紀伊半島南部だけに自生しするキイジョウロウホトトギスの花が、苔に覆われた岩壁を黄金色に染めていた。 清流の奥深く 岩壁に秘めやかな輝き 古座街道を離れ、谷川沿いの細い林道を自転車で上がった。 少しカーブになったところで突然、谷側の木立の上に滝の上部が見えてくる。 相当高い滝に違いない。 自転車を停め、踏み跡をたどって谷に下りると、流れの対岸の垂直の漆黒の岩壁を一条に落下する滝が全貌を現わした。 高さ30m以上、段や分岐なく、緑碧色の水をたたえた滝壺に一気に落ちる勇壮な滝だ。 滝のすぐ左の岩壁一面が黄金色に染まっている。 滝壺まで近づいて見上げると、苔に覆われた岩壁からキイジョウロウホトトギスの釣鐘形の花が垂れ下がっている。 昼前でも薄暗い谷の中、一輪一輪が光を放っているようだ。 秘密の宝物をそっと見た気持ちになり、胸の高鳴りを押さえて林道に戻った。 幾つか目のカーブを曲がると、植林した杉林の向こうに三角錐の岩塊が見え、切り立った斜面が黄金色に染め上げられている。 また自転車を停めて杉林を抜け、川岸に下りた。 岩塊は高さ35mほど、一枚岩のような等質の岩体で、よじ登るにしても手掛かりのないような岩だ。 キイジョウロウホトトギスはその岩の幅40mほどにわたり自生し、川面の1・5m上程から頂まで途切れずに続いている個所もあって壮観だ。 古座川支流の清冽な水と適度な日照を受けて育ち、人やシカを寄せ付けない急崖が生息を守ってきたのだろう。 エビ捕りに来ていた奥の集落の人によると、「以前は岩壁一面を花が埋め尽くしていましたが、台風で根こそぎ流されてしまいました」。 昔々から毎年秋にこの岩壁を染めていたはずだが、「黄色い花がいっぱい咲いているのは毎年見ていましたが、そんなに貴重とされているとは思っていませんでした。 おととしくらいから近辺ではよく知られるようになりました」という。 この日も、古座川町の他の地区から5人の女性グループが見学に訪れていた。 自生地の減少で絶滅危惧種に指定されているキイジョウロウホトトギス。 石垣で再生してきた取り組みを古座川最上流のすさみ町佐本などで見てきた。 上臈の名前にふさわしいこの花の高貴な表情は、石垣や鉢植、切り花でも伝わってきた。 しかし、南紀の自然の中で断崖で自生する花は野性味を加え、さらに引き立つ。 一枚岩対岸にある一枚岩鹿鳴館前の国道沿いの崖にはキイジョウロウホトトギスの自生地があり、「次世代に残すためみんなで守ろう」と保全を訴える観光協会の説明板も建てられている。 崖崩れ防止のネットが張られて自然の雰囲気を堪能できるとは言えないが、先の二か所と違って行きやすい場所にあり、公表もされているので、手軽に自生の花を見ることができる。 一枚岩の岩壁にもキイジョウロウホトトギスが咲くと聞いて目を凝らしてみたが、黄色に染まったようなところは見つからない。 鹿鳴館のスタッフに尋ねると、備え付けの望遠鏡を東側の切れ目のあたりに向けて固定してくれた。 望遠鏡をのぞくと木々の間に4、5本の株の花が見えた。 「遠目でわかるほど咲いていた時もあったのですが…」と残念そうだった。 洞尾の集落に住む田上實さん(84)は、自然公園管理員を務めていた10年ほど前から、自生株の種を集めて自宅で発芽させ庭の石垣で育てて、崖に植え戻すなど保護に努めてきた。 その後、古座川町の後押しも得て古座川キイジョウロウホトトギス愛好会が発足、自生地と少し離して育成地を設けている。 昨年5月からは会員が自宅で育てた苗を一枚岩センターで販売して好評で、和歌山市の県民交流プラザにも広げていた。 昨年の台風被害などの影響で今年は扱えなかったが、「コケやシダなどキイジョウロウホトトギスを引き立てる植物を配するなど工夫を加えて伸ばしていきたい」と愛好会副会長の田上さんは話している。 訪れた自生地のうち、一枚岩に近い岩壁については、保全を確立して公開できないか検討されている。 車が押しかける月並みな観光名所ではなく、古座川流域ならではの奥まった谷の静寂な雰囲気の中で、自然なままのキイジョウロウホトトギスを見られる場。 そういう形で、地元の活性化に役立てばいいと思う。 田上さんの住む洞尾はかつて30戸あったが、一時は4戸までに減少した。 しかし、8年前から緑の雇用事業や農地を提供する支援制度などで農林業を志す都会からの移住者も入ってきた。 「小学校や幼稚園に通う子もいて、『おじいちゃん、おばあちゃん』と寄ってくれるので癒されます」と田上さんは顔をほころばせた。 こうした新住人もキイジョウロウホトトギスの鉢栽培を始め、これからは古座川寄りの石垣を使って育てるという。 この花が新しい里の秋を飾る花となっていくかもしれない。 (文・写真 小泉 清).

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ホトトギス特集

キ イジョウ ロウ ホトトギス

下垂する花を持つキイジョウロウホトトギスとスルガジョウロウホトトギスの花部生態学的研究を, 直立する花を持つ他のホトトギス属植物のそれと比較しつつ行った。 これらの花は同調的に開花せず, キイジョウロウホトトギスは約5日間, スルガジョウロウホトトギスは約4日間咲いている。 両種とも雄性先熟で, 葯は花被が開く前に裂開している。 開花の後半に, 柱頭が成熟して雌性期となる。 ポリネーターはトラマルハナバチだけで, 下方の花被片の内面に止まって, そのまま這い上がり, 外花被片の基部にある短距に分泌される花蜜な吸う。 その際, 雄性期の花では葯のみに, 雌性期の花では柱頭と葯に背面が触れる。 トラマルハナバチは, 通常, そのままの姿勢で頭部のみを動かして3つの蜜腺から吸蜜してから後ずさりをして出て来るので, 上方にある葯や柱頭には触れない。 従って, 雌性期になっても上方の葯に大量の花粉が残っていることが多い。 しかし, これらの種では, 直立する花のように花柱枝の二叉部が雌性期に葯に接近することはないので, 自動的同花受粉は起きない。 また, 花は長命のため, 長い受粉可能期間がある。 少なくともキイジョウロウホトトギスは4日間, スルガジョウロウホトトキスは3日間一様に花蜜を出すように見える。 これは他花受粉型のキバナノホトトギス等が2日間しか咲いていないのと, 対照的である。 Primack 1985 のモデルは, ポリネーターの訪花率が低く新しい花を作る相対コストが高いときに, 長命の花が生ずることを予測している。 ジョウロウホトトギス節の植物はトラマルハナバチの訪花頻度が比較的低く, また大きな花を着けるので, この予測に合致する。 花柱枝が二裂するというホトトギス属植物の特質は, 直立型の花では, 雌性期に外輪雄蕊の葯を跨いで柱頭が下方に来るという形態により, 大型ハナバチ受粉に適応しているように見える。 下垂型の花ではそれと同様な意義を見い出せないが, 上方にある柱頭がほとんど受粉しないので, 柱頭面積を広く確保するという意味があるのかも知れない。 直立型の花は丁字着の葯が外向裂開して, 大型のハナバチが乱暴に動いても葯はほとんど痛めつけられずに, ハチの背面に裂開面をうまく当てることができる。 下垂型の花ではハチはほとんど下方の葯にしか触れないので, もし外向裂開であればその直下を通過したときにだけ効率よく花粉を受け取られるであろうが, 側裂開で葯の向きを自由に変えられる丁字着のため, 側方の葯からも花粉を拭き取られるようである。 直立型の花では, 蜜腺が内花被片基部の左右の張り出しにより覆い隠されているが, ジョウロウホトトギス節の花では隠されていない。 これは盗蜜者がいないこと, 下垂するため雨水が入る恐れがないことなどと関係があると思われる。 以上のような花部生態学的特性から見ると, ホトトギス属では, 下垂する花は直立する型から由来したと考えるのが自然のように思える。 The floral biology of Tricyrtis macranthopsis and T. ishiiana var. surugensis, whose flowers open obliquely downward nearly pendulously , was investigated in comparison with that of other species with upright flowers. The flowers do not open synchronously in either species, and bloom for about five and four days in T. macranthopsis and T. ishiiana var. surugensis, respectively. The flowers are protandrous and the anthers already dehisce by the time the flowers open. The stigmata are receptive in the latter half of the flower-lives. Only Bombus diversus diversus proved to be an efficient pollinator in both species. Since the bumblebee makes contact usually with only the lower-side anthers and stigmata, much pollen on the anthers and stigmata at a distance from the stem remain intact in many flowers. However, automatic self-pollination rarely occurs even when much pollen stays on the anthers in the female-stage flowers. Although the morphology of the style, whose three branches are further bifid, apparently adapts to bumblebee pollination primarily in the upright flowers, the bifid branches might be suitable to make large stigmatic areas. It seems reasonable to consider that the pendulous flowers are derived from the upright ones. The longevity of these flowers is discussed in comparison with some other species of Tricyrtis.

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キイジョウロウホトトギス/茶花・山野草販売

キ イジョウ ロウ ホトトギス

ユリ科(APG分類:ユリ科)の多年草。 根茎は短い。 茎は高さ40~80センチメートル、上部は下に傾き、普通は淡褐色の粗い毛がある。 葉は卵状楕円 だえん 形または狭卵形で、しだいに先がとがり、長さ8~14センチメートル。 葉の基部は円く、耳状になるが、下側にある耳だけが茎を抱く。 9~10月、上部の葉腋 ようえき および茎頂に1個ずつ花を下垂して開く。 花被片 かひへん は倒披針 とうひしん 形で、鮮黄色、内面に紫褐色の斑点 はんてん がある。 外花被片の基部は距 きょ 状に少し伸びる。 名の由来は、上 じょうろう (女官)の意と、花被片の斑点をホトトギスの胸の斑点に見立てることによった。 高知県、宮崎県の山中にまれに生育する。 [河野昭一].

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